スイングの本質とメカニズム 開設 : 2018-1-16/最終更新 : 2019-2-3 ※テニススイングは科学の視点で考え、自然×シンプル=合理的でなければなりません。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
テニスを始めるに際して、コーチは教えてはくれませんが、最低限知っておくべき基礎知識を下記しました。 テニスで真先に覚えなければならない基本は、正しい打球の構えであり、スイングとはラケットを持つ利き腕の肘を 振ること、またバックハンドでは正しいグリップの造り方ですが、特に留意せねばならないのはフォアハンドとバックハンドでは スイングのメカニズムが全く異なること・・・従って、肘の使い方も異なることです。これらの認識不足のため、実に多くの プレイヤーが・・・プロ選手やテニス歴の長い年長者をも含め・・・ミスの防止と上達に苦しんでいます。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
Ⅰ.ボールを打つのは手の平です ・・・ 手の平=ラケットの打球面です ・・・ラケットとはアラビア語で<手の平>を意味する由、ラケットは手の平の補助/代替ギアに過ぎません。 打球とは一瞬手の平で掴んだボールを、フォアハンドは肘と手の平の推進力でラケットを前方へ押し出し出して/ バックハンドは肘と手の平の牽引力でラケットを打点に向けて引き出して、ボールを叩くこと! ・・・手の甲側でボールをホールドすることは不可能ですし、手の甲側に向けて肘を強く大きく動かすことは物理的に不可能です。 手の平(バックハンドの場合、親指の付け根の膨らみ部分=ヴィーナスヒル)/ラケットの打球面(スイートスポット)と ボールの真芯を外したスイング/打球では、力強くコントロールの正確なボールを打つことはまず不可能です。 ※強いボールを打つのには、手の平とラケットの打球面、または手の平とスイング方向との完全一致が必要条件です。 ・・・スイングは手の平が向く方向とベクトル(運動の方向量)の方向を一致させて行うのが原則です。 ※バックハンドのグリップに要注意!:バックハンドの場合、手の平とは、親指の付け根の膨らみ(ヴィーナスヒル)です。 ・・・バックハンドでは、採用するグリップの極く僅かな狂い/誤差が、真芯を外したミスを招来します。 ◆正しいグリップ : 手首や肘を捻ったり、曲げたりせず、素直に腕を伸ばして、打点の位置に合わせて握るグリップが自然で正しいグリップです。 ラケットの打球面の真裏を手の平でしっかりと支え、強いボールの衝撃にも耐えるグリップです。 フォアハンドグリップ : イースタン、コンチネンタル、ウエスタン、セミウエスタン ・・・ コンチネンタルとイースタングリップは、手の平の握りが薄くて弱いグリップです。肘のバックアップが弱い(=肘でラケットの真後ろを 強く押すことが出来ない)ので、強いボールを打つことが出来ません。フォワハンド(押すスイング)ではスイングに体重を乗せ難い理由です。 また、ウエスタンとセミウエスタンは握りが厚くて強いのですが、身体の構造上、肘を大きく強く振れない欠陥があります。 バックハンドグリップ : バックハンドウエスタン/セミウエスタン ・・・ バックハンドウエスタン/セミウエスタンは手の平の握りが厚くて強く、肘でラケットをほぼ真ん前から強く引き出すことが可能なので、 肘のスイング主導牽引力=打球のベクトル(運動の方向量)を最大とするグリップです。これ以外のグリップで、強いバックハンド ショットを打つことは理論的にも不可能です。 ◆打球は以下の場合に最強となります ・・・ ①手の平の方向、 ②ラケットの打球面の方向、 ③スイング方向 として、 *フラット <①=②=③>、 *トップスピン <①=②>≠③ *スライス&ボレー <①=③>≠② ・・・ つまり、①手の平と、②ラケットの打球面または、③スイング方向の一致、或は、①②③全ての一致が最強の打球を可能とします。 ※不自然な手首のコックや捻り : グリップ造りに誤りがある証拠!・・・不安定要素となり、ミスショットの原因となる! 手首の不用意な使用は絶対に避けるべきです。ラケット面を手首を不自然に捏ねたり、折ったりして作ってはなりません。 ・・・スイングパワーダウン/コントロールの不安定化を招きます。 ※バックハンドでグリップを間違えた場合、必然的にスイング中にラケット面を打点に合わせて手首を捻って修正する操作が 不可欠となりますが、その際に手首とヒジが連動してヒジが僅かでも下方/ソッポに逸れ、ヒジの動きにブレーキがかかる結果、 肘のラケット牽引力が封殺されて<引きスイング>が不可能となり、<押すスイング>に変質/劣化するため要注意です。 手首や肘は自然にすんなりと伸ばした状態で使用すべきです。身体の部分的な硬直は連鎖的にスイング自体を毀損します。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
Ⅱ.打球の構え ・・・ グリップに次いで大切なのは、打球の構え造りです。横向きが基本です。 ・・・身体は横向きが自然で基本、前肩はを前方ターゲットに向く : 両手打ちの野球やゴルフと原理は同じ! 身体を横向けとする目的は、①体幹を円心とする自然なスイング軌道=円軌道を作るため、②手の平を自然と前方スイング方向に 向けるためと、①と②により、③スイング/打球の強弱、飛距離、飛球方向のコントロールを容易ならしめるためです。 ※打点が低い場合 : また、打点が低い場合、膝を曲げて腰を落とし身体の重心を下げるのが基本です。 ・・・身体が前向きの場合や、腰高でラケットだけ下げる場合にはミスの確率が確実に高まります。 スイングは、まず、相手が打球後直ちに、身体(体幹)を正しい打球地点=体幹を円心とする自然なスイング軌道(円軌道)の円心に移動した後、 ①身体(上体だけでも)を横向きとし、前肩を前方に向ける、②打点が低い場合、腰を曲げたり、ラケットダウンするのではなく、膝を曲げて 腰を落とし、身体の重心を下げるのが基本です。 ・・・ ①身体を、姿勢正しく、横向きとする事で、*手の平とラケット面を自然と前方に向けることが容易となり、*自然な円軌道を描く スイング軌道の中で無理なくボールを捉え、*打球の強さと飛距離、飛球方向の正確なコントロールが可能となるため、力強く 正確なスイングと打球を容易とします。 ②また、打点の低いボールに対して身体の重心を下げることで、*正しいラケット面を造りやすくし、足腰が安定するために、パワフルな スイングと打球を容易とします。ラケットヘッド⇔グリップをコート面に水平に振る場合、ラケットの操作を最も容易とします。 ③テニスは足ニスです。相手がボールをうった瞬間に、足を動かして適切な打球地点に移動するのが基本です。 ※テニスの習得と上達を妨げ、凡ミスを多発する最大の原因が、この原理・原則の軽視・無視にあります。 ◆テイクバック : 直接(ダイレクト or ストレイト)テイクバック、つまり、クルム伊達公子方式が唯一正しいテイクバック方式であり、基本!! ・・・ラケットのテイクバックの適切な位置は、打点の真後ろ、自然な円軌道の延長線上です! テイクバックは即、ラケットの、フォワードスイング開始位置(=打点の真後ろ=体幹を円心とする自然なスイング円軌道の延長線上)への セッティング完了でなければなりません。 *テイクバック時のラケットだけでなく、フォワードスイング始起動点である肘の位置も、フォワードスイングの開始位置であるべきです。 ・・・ 特に、バックハンドの場合、脇を開けて、肘を前方に向けておかねば、正しく効率的なラケットの牽引スイングが出来ません。 ※サーキュラー(ハイポジション)テイクバックの目的は、反動の力を利用してスイングスピードを高め、打球を強くする事のようですが、 所詮ラケットの推進力・・・<押すスイング>・・・を強めるパワーアップ補強策でしかありません。 ・・・バックハンド=<引くスイング>のパワーアップには無用の所作でしかありません。 フォアハンドでも、極力ラケットがグリップを追い越すタイミングを遅らせてスイングスピード/パワーを高める;つまり <引くスイング>スパンを長くすることで打球を強める事を推奨するコーチがいますが、正しいと思います。 ※ストレイトテイクバックのメリット : コンパクトなテイクバックが無駄な時間と動作を省き、力強く正確なショットを可能とします。 スピードとパワーが重視される近未来に必要とされるのは、空疎で大きな動きではなくて、密度の濃いコンパクトな動作です。 ①タイムロスを最小限に留め、速攻が可能・・・少なくとも、振り遅れを防げる。 ②迅速なラケットセット、打球態勢造りが可能となる・・・既に実践に移されています! ②部分的にせよ<引きのスイング>で体重を乗せて、パワーを溜めることが可能 ③打点の低いボールの返球に極めて有利 ※パワーとスピードが重視される近未来のテニスでは、サーキュラー/ハイポジションテイクバックは何れ時代遅れの 間抜けた手法となり、ストレイトテイクバックがスタンダードとなる筈です。特にバックハンドでは必至です。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
第1図 体幹を円心とする自然なスイング軌道(概念図) ※自然な円軌道を描くスイング上でボールを捉えるのが基本です。 |
第2図 スイングの支点と打点との関係(概念図) ※バックハンドの打点位置は、フラットの場合です。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
Ⅲ.スイング ・・・ スイングとは・・・ラケットを持つ利き腕の・・・肘を振ることです ・・・スイングの主役は肘です。肘はスイングの原動力であり、司令塔(方向舵)です。 (1)スイング軌道 ・・・ 正しく強いスイング軌道は体軸を支点とする自然な円軌道 ・・・ 第1図参照 ※スイングの支点=スイング軌道の円心 : フォアハンド=頸椎、バックハンド=頸椎+右肩 体幹(フォアハンド=頸椎、バックハンド=頸椎+右肩)を円心とする自然な円軌道が 最速/最強のスイング/打球を可能とする正しいスイング軌道です。 打球はスイングの支点(体幹:フォアハンドでは頸椎、バックハンドでは前肩)を円心とする自然な円軌道の中でボールを捉えて行うのが 基本です。従って、相手が打球後、直ちに円軌道の円心(=正しい打球地点)に、適切な距離をとって、身体を素早く移動すべきです。 また、ある程度長い直線的軌道の中でボールを捉えるのであれば、ターゲットに向けて、インサイドアウトまたはアウトサイドインの スイングを行うことによって、スイング半径を大きくすることで可能となります。 ボレーなどの短いインパクトゾーン(打球域)では直線的なスイングが必要となります。 ※ボールを自然な円軌道/或は直線軌道の1点で捉えて打つのが基本です。自然な軌道から外れて、 ボールにラケットを当てに行くスイングでは、自然な軌道からの乖離が大きいため、打球ミスの確率を高めます。 ※スイングの支点となる体幹(頸椎&右肩)は、インパクト時点では動き/回転を停止するのが基本です。 ・・・ 特にバックハンドの場合、身体の捻り戻しを行うとしてもインパクト時点で右肩がターゲット方向を向いた時点で 停止しないと、スイング速度が減衰しパワーロスに加えてコントロールの精度も低下します。 ※スイングは全身運動 : 姿勢正しく、足腰の動きを上手く活用するのがポイントです! 身体の上半身だけで/腰が伸び切った状態で・・・スイングを行うプレイヤーがいますが、膝を軽く曲げて腰を落とし、 下半身・・・足腰・・を巧く柔軟に使わないと、力強くコントロールの正確なスイング/打球は不可能です。 ・・・足の位置、構えをとやかく言うコーチがいますが、足は、上体の構えさえ正しくすれば、自然と正しくセットされる筈です。 ※スイングのメカニズムは、フォアハンドとバックハンドでは全く異なります!! ・・・(3)大切な肘の機能を参照して下さい フォアハンドでは、肘の推進力でラケットを打点に向けて押し出す、<押すスイング>です。 ※フォアハンドは、脇を閉めて肘を下方に向け、肘を体幹に強く引き寄せつつ ラケットを前方の打点に向けて押し出して打球するスイングです。2019-1-25 ・・・但し、グリップエンドが向く方向に向けてスイングを行うフォアハンドスライスとボレーは<準引くスイング>です。 ※押すスイングには体重を乗せ難く、身体の捻り/捻り戻しを行わない限り、ボールを強く打つことが出来ません。 バックハンドでは、肘の牽引力でラケットを打点に向けて引き出す、<引くスイング>です。 ※バックハンドは、脇を開けて肘を前方に向け、肘を体幹から強く引き離しつつ ラケットを前方の打点に向けて引き出して打球するスイングです。2019-1-25 ・・・バックハンドのスイングは全てグリップエンドが向く方向に向けてスイングを行う<引くスイング>です。 ※引くスイングには体重を乗せ易く、小さな力でボールを強く打つことが出来るメリットがあります。 ※但し、バックハンドでもグリップを間違えると<押すスイング>に変質/劣化します。 (2)正しい打点の位置 ・・・ スイングの支点となる体幹との位置関係 ・・・ 第2図参照 インパクト時点での下腕(グリップ)の位置/方向は、ショットの種類、打点の高さなどによって多少異なりますが、スイングの支点= 右肩の約45度斜め前です。ラケットと下腕の角度は通常約135度です。従って、打点の位置はスイングの支点の約20度斜め前方です。 ・・・ 勿論、打点は、フォアハンド/バックハンドも頸椎/右肩をスイングの支点とする自然な円軌道上にあります。 但し、ボレーは頸椎/右肩をスイングの支点とする直線軌道上とする方が、より力強く正確な打球が可能となる筈です。 フォアハンドの場合、打点の位置は横向きの身体のほぼ左胸の前方にあります。フォアハンドの場合、どのショットの場合にも 打球時点の肘の位置はほぼ一定ですから、フラット、トップスピン、スライス、ボレーの打点は殆ど同一位置にあります。 *最も力強く正確な打球が可能な打点の高さは、ストロークの場合、ほぼ腰の高さです。ボレーは目の高さです。 バックハンドの場合、フラットの打点位置は、フォアハンドフラットの打点位置よりも、ほぼ両肩幅分だけ前方にありますが、 打球時点での肘の位置が異なりますから、トップスピン(遠)、スライス、ボレー(近)の順に、フラットの場合よりも体幹寄りになります。 *最も力強く正確な打球が可能な打点の高さは、ストロークの場合、ほぼ胸(鳩尾)付近の高さです。ボレーは目の高さです。 (3)大切な肘の機能 ・・・ スイングとは肘を振ること=肘はスイングの原動力/司令塔/リーダ-です スイングとは・・・手の平とラケットの打球面を正しく前方に向けた状態で・・・肘を振ることですが、大切なことは、 肘の牽引/推進機能、方向舵機能、加速機能を100%効率的に活かすためには; ・・・極力、スイングを肘の高さで、肘のリードで行なうことです・・・高さの乖離が大きい程、効率は低下します。 ・・・つまり、肘を自然なスイング軌道上で振る場合に、つまり、肘を、<ラケット-グリップー肘>が作る 不等辺3角形の平面上に載せて振る場合に、最速/最強のスイング/打球を可能とします。 1.原動力機能:スイングとはラケットを持つ腕の肘を振ることです。肘を強く振らねば、強いボールを打てません。 フォアハンドは、肘を折り畳んで体幹(右脇腹)に引き寄せつつラケットを前方へ押し出す<押すスイング>、 バックハンドは、逆に、肘を体幹から離して前方へ伸ばしつつラケットを後ろから引き出す<引くスイング>です。 フォアハンド=後輪駆動のリアエンジン・・・スイングの推進機能 : 肘を体幹へ引き付ける動作でラケットを押し出す機能 バックハンド=前輪駆動のフロントエンジン・・・スイングの牽引機能 : 肘を体幹から引き離す動作でラケットを引き出す機能 肘の使い方によって、スイングのメカニズムが異なり、スイングは3種類のタイプに分類されます。 ①<引くスイング> ・・・ バックハンド=フラット、トップスピン、スライス、ボレー ・・・ 身体を横向けとする場合、利き腕が身体の前方にあるバックハンドは、ラケッットを引き出すスイングです。 スイング時に、肘をインパクト直前まで先行させ、肘の牽引力でラケットを打点に向けて引き出すスイングです。 *脇を開けて肘を前方に向け、肘の先行リードで、ヒジ-グリップ-ラケットの順に、ラケットが最後に遅れて 引き出されるスイングです。 ・・・手の平(ヴィーナスヒル)が向く方向へラケットを引き出すスイング ・・・グリップはバックハンドウエスタン/セミウエスタンに限られる ・・・上下腕(肘)を肘関節にほぼ直角に伸ばしつつ、ラケットを引き出すスイング ・・・手の平・グリップエンドをスイング方向に向けて行うスイングは<引くスイング>です ※引くスイングには体重が乗るため、大きなテイクバック/身体の捻りを必要としません ※引くスイングでも、厳密には、スイング開始後に、ラケットがグリップ/ヒジを追い越した瞬間押すスイングとなります。 バックハンドは体重が乗った強力な牽引力を一瞬推進力に変換してボールを強く押し出す弱いスイングとなります。 (参考)従って、厳密には、牽引力 9 : 推進力 1 とするのが基本ですが、多少身体の捻り戻しを加えて、牽引力 8~7 : 推進力 2~3とする方が、スイングし易い、より強力な打球が可能と言うプレイヤーは方は,その方を選択するのも 自由です。但し、スイングの支点となる前肩の動きをインパクトの時点で一瞬停止する必要があります。 ②<押すスイング> ・・・ フォアハンド=フラット、トップスピン、ボレー ・・・ 身体を横向けとする場合、利き腕が身体の後方にあるフォアハンドは、ラケットを押し出すスイングです。 スイング開始後、間もなく肘を追い越すラケットを、肘の推進力で打点に向けて押し出すスイング *身体の前から、ラケットが先行し、ラケット-グリップ-ヒジの順に、ヒジの推進力でラケットを 押し出すスイングです。 ・・・上下腕(肘)をほぼ直角に折り畳みながら、下腕を前方へ曲げつつ、ラケットを押し出すスイングです。 ※押すスイングとは言え、厳密にはスイング開始後に、ラケットがグリップ/ヒジを追い越すまでは引くスイングです。 ※押すスイングには体重が乗り難く、追加パワーアップ策・・・身体の回転など・・・が不可欠です。 ③<準・引くスイング> ・・・ フォアハンド=スライス、(スライス)ボレー ヒジの先行リードで開始し、途中からグリップとラケットを先行させ、<肘+グリップ>の牽引力で、ラケットを 打点に向けて引き出すスイング。 ・・・肘の先行リードで、ヒジーグリップ-ラケットの順に、ラケットが遅れて引き出されるスイングです。 ・・・フォアハンドの場合でも、体幹から離して浮かした肘を、体幹に引き付けるスイングは、<準・引くスイング>です。 ・・・ラケットがグリップに先行して振られることが終始ありません ※スイングに多少体重が乗り、逆回転の浮遊力も加わり、滞空時間が長いので、ボールは小さな力で良く飛びます。 ④<押す⇒引くスイング> ・・・ フォアハンドサービス、スマッシュ/ハイボレー・・・スイング軌道は円形/直線 *ラケットの振出時点では、<引くスイング>、直後に、打点に向けて<押すスイング>に変換するスイング ・・・フォア/バック双方の最強原型スイングタイプのハイプリッドタイプなので、打球は最強 (参考) バックハンドの<引くスイング>はフォアハンドの<押すスイング>よりも遥かに強力です。 (例1) 鋸は、木材を切る場合、身体の内側に向けて引く場合、つまり、<引くスイング>の場合、鋸に体重が乗るため 強力であり、木材を切るのが楽ですが、身体の外側へ向けて押す場合には、鋸に体重を乗せ難く、木材を切るのが 容易ではないのと同様、<押すスイング>には体重を乗せ難く、フォアハンドの球威は多少劣ります。 (例2) 北風が強く吹き付けるドアを家の中から押し開けるよりも、外から引き開ける方が小さな力で開けることが出来ます。 <押すスイング>よりも、<引くスイング>の方が強力であることが判ります。2019-1-9 2.方向舵機能:スイングの方向舵/リーダー/司令塔・・・コントロールの正確なスイング/打球を可能とする機能 インパクトに備え、フォアハンドでは、脇を閉めて肘を体幹に引き付け、バックハンドでは、脇を開けて 肘を体幹から離して、手の平とラケットの打球面を自然と正しく前方に向けることが可能となります。 具体的には、①手の平の方向を前方に向ける、②体幹を円心とする自然な円軌道を作る、③手の平の方向とベクトル (運動の方向量)の方向を完全に一致させる機能です。 フォアハンド : 脇を閉めて、肘を体幹に寄せ、ラケットのグリップエンドをスイングの円心となる体幹(頸椎)に向けることで、 上記の①②の方向舵機能を活かし、③で肘の<押すスイング>を完遂させる。 バックハンド : 脇を開け、肘を体幹から離して前方に向けることで、上記①と②を達成し、③で肘がスイングを 終始先行/主導する<引くスイング>を完遂させる。 3.加速機能: フォアでは肘を折り畳む過程で、バックでは、肘を伸ばす過程で、スイングを加速します。
(4)最強のスイング : 以下の3条件を満たすスイングが最強のスイングです。 ①上下腕を肘関節にほぼ直角に、伸ばす(バックハンド)、折り畳む(フォアハンド)スイング、つまり、自然に広げた手の平と 同一平面上のスイング。(注)下腕を前方へ曲げるスイングには肘の推進力/牽引力が殆ど機能しません。 (例)フォアハンド・・・ボーリング、ソフトボールの投手の下手投げピッチング。金槌で釘打ち、 バックハンド・・・日本刀の居合抜き、逆手に持った短刀のスイング、金槌で釘打ち、手刀(空手チョップ) ②①のスイング中、自然と手の平が向く方向に向けてのスイング。 (注)手首や腕を捻って手の平をスイング方向に向ける場合、大きなパワーロスとなります。 (例)バックハンド・・・居合抜き、逆手に持った短刀のスイング、金槌で釘打ちなど。フォアハンド:該当なし。 ③<引くスイング>。スイングに体重が乗る分、<押すスイング>よりも遥かに強力です。 (例)バックハンド・・・居合抜き、逆手に持った短刀のスイング、金槌で釘打ち、手刀(空手チョップ)など。フォアハンド:該当なし ※日本刀の居合抜き型=<EEタイプ>が、フォア/バックを通じて、上記の3条件を満たす唯一のスイングタイプです。
※フォアハンドとバックハンドとでは、スイングのメカニズムが異なることに要注意! *バックハンド=<引くスイング>:利き腕/肘が身体の前についているバックハンドは、ラケットを 打点に向けて引き出しつつ打球するのが、普通であり、自然、シンプルで合理的な<引くスイング>です。 ・・・ 但し、グリップと肘の使い方を誤ると、<押すスイング>に変質/劣化して、ボールを強く打てません。 *フォアハンド=<押すスイング>:利き腕/肘が身体の後ろについているフォアハンドは、ラケットを 打点に向けて押し出しつつ打球するのが自然であり、普通です。 ・・・フォアハンドの殆どのスイングタイプが<押すスイング>です。スライスやボレーの一部は<準・引くスイング>に属します。 (5)トップスピン : フォアハンド=プロネイション=◎/バックハンド=スピネイション=×? 強いトップスピンを掛けるには、フラットを打つ3倍の力が必要だと言う説は正しいと思います。小手先で打っても強いスピンはかかりません。 フォアハンド : ①ワイパースイングでプロネイションを用いる方法と、②単純にラケットを下から上へと振り抜くことで ボールを擦りあげる2通りの方法があります。どちらもラケット面が被り気味の段階でボールを叩くと効果的です。 バックハンド : <EEタイプ>で打つ強いフラットボールは飛び過ぎるので、プロ選手にはトップスピンが不可欠です。 ラケットの下から上へと自然な振り抜き=かぶり気味のラケットの打球面を、振り抜く際にコート面に ほぼ垂直に立ち上げる過程でスピンを掛ける方法が唯一正しいのではと思います。 ・・・この場合、スピンをかけ始める打点の位置は、フラットの打点よりも少々手前になります。 これにも2通りの方法があり、①スイング途上でラケットの打球面が未だやや被っている(下方を向いている)段階で ボールを引き付けて叩く方法、②グリップをバックハンドウエスタンよりもやや厚めのバックハンドフルウエスタンとして ボールを叩いて振り抜き、擦りあげる方法があります。どちらも、ライジングでボールを捉えると効果的です。 ・・・私は①&②の方法で結構高速で強力なトップスピンをかけて来ました。 。 ※スピネイションでスピンを掛ける説がありますが、フォアハンドとバックハンドとでは、スイングのメカニズムが異なります。 スピンはかかりますが、ラケットの当たりが薄く、球威が著しく低下するのと、安定性に欠ける大きな欠陥があります。 ・・・スピネイションのような小手先の打球方法では球威のあるトップスピンを打つことは不可能だと思います。 (6)フォロースルー : フォアハンドとバックハンドではスイングのメカニズムが違います。当然フォロースルーも異なります。 フォアハンドストロークは<押すスイング>なので、 身体の大きな捻り戻しに伴う大きなフォロースルーは不可欠です。 バックハンドストロークは<引くスイング>なので、身体の捻り戻しは不必要ですから、インパクト後は力を抜いて、 ラケットを前方へ投げ出す形でコンパクトにフイニッシュするのが最も合理的であり、基本です。 (注)バックハンドの場合、フォアハンドとは異なり、打点が遠いことも考慮する必要があるのではと考えます。 (7)直角理論 : 手の平、ラケットの打球面、肘関節、体軸にほぼ直角なスイングが、パワーの伝達を最も効率的とします。 ①手の平と直角なスイング/インパクト、②肘関節と直角なスイング/インパクト、③体軸と直角なスイング/インパクトが 最高速のスイングスピード、最強のインパクトを可能とします。非直角の場合、乖離が大きい程、パワー伝達の効率は低下します。 フォアハンドストロークは腰の高さで、バックハンドは鳩尾の高さで、体軸に直角にラケットを振る場合、つまり肘の自然な高さに 合わせてラケットを体軸に直角に振る場合=ラケットをコート面にほぼ水平に振る場合、イング/打球パワーが最高となります。 ※この理論条件を最も多く満たすスイングタイプが、バックハンドの<EEタイプ>です。 (8)「バックハンドに力を入れ難い」という定説は正しいのか?・・・ 間違いです。 *スイングの力学方程式 : 運動量Momentum=質量MASS X 速度VELOCITY という力学方程式があります。 つまり、打球の強さは、ラケットの重量とスイング速度に比例するという方程式ですが、質量MASSをラケットにかかるヴェクトル(運動の 方向量)に置き換えて考えれば、スイングに体重が乗るバックハンドショット=<引くスイング>の方が、スイングに体重を乗せ難い フォアハンドショット=<押すスイング>よりもヴェクトルが大きく、スイング速度も、肘を伸ばしつつスイングするバックハンドの方が スイング半径が大きく、肘の小さなスイングで鞭を振るように高速であり、肘を折り畳みつつスイングするフォアハンドショットよりも スイング半径が小さく、肘のスイングが大きい割にはスイングスピードが低速であることを勘案すれば、理論的にもバックハンドの 方が打球のパワーが強力であると言うことが出来ます。 ※つまり、打球の強さは、単純化すれば、バックハンドの場合、(ラケットの重量+体重)×スイング速度、フォアハンドの場合、(ラケットの重量+ 身体の回転力)×スイング速度となりますが、バックハンドの方が強力であることが判ります。 ・・・ 従って、「バックハンドに力を入れ難い」という定説は間違いであることが判ります。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||